【コスメコンシェルジュ直伝】私に合うアイテムが見つかる!全成分表示の見方
化粧品のパッケージや外箱に記載されている全成分表示。何度も目にしたことはあるものの、難しそうな成分名がたくさん並ぶため、あまり意識して見る機会は意外と少ないのではないでしょうか。
でも実は、この全成分表示の見方がわかると、化粧品選びの幅も広がり、自分にぴったりのアイテムも見つかりやすくなるのです。
そこで今回は、全成分表示の見方から選ぶ時のポイントまでをご紹介。ぜひ化粧品選びの参考にしてくださいね。
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書いた人
LISA
<プロフィール>
2011年よりライター活動開始。コスメコンシェルジュ資格取得後、美容ライターとしても活動を開始する。
スキンケアを中心に数多くの美容コラムを執筆。一人ひとりの肌質や生活スタイルを想定したうえで、適切なケア方法を導き出すコラムを得意とする。
プライベートでは、デパコスからプチプラコスメ、ドクターズコスメ、海外コスメなど、ジャンルを問わずに気になったアイテムはすぐに試すスキンケアオタク。
不規則な食生活が続きがちで、健康維持はもっぱらサプリメントに頼りがち。
<所有資格>
・日本化粧品検定1級
・コスメコンシェルジュ
そもそも全成分表示って何?
化粧品の全成分表示とは、その名の通り、化粧品に含まれているすべての成分を記載する義務のことです。
ひと昔前までは、アレルギー反応を起こす可能性がある成分のみを表示すればよいルール(旧表示指定成分)が定められていましたが、2001年4月に化粧品の規制緩和が実施。企業の自己責任において化粧品を自由に製造・販売できるようになったことをきっかけに、化粧品の全成分表示が義務付けられました。
化粧品のパッケージや外箱などに記載されている全成分表示には、
- 配合されているすべての成分の記載
- 配合量の多いものから順にパッケージに表示
- 消費者にわかりやすい邦文名での記載
- 混合原料は混合されている成分ごとに記載
など、細かいルールが定められています。
この全成分表示が義務付けられたことにより、私たち消費者は、万が一、肌トラブルが起こった場合でも、使用した化粧品を医療機関に提示することで、原因物質が特定しやすく、適切な処置も受けられやすくなったのです。
また、そのほかにも全成分表示には細かいルールが義務づけられています。
① 配合量1%以下は順不同で表示が可能
基本的に配合量の多い成分から順に記載することが決められている全成分表示ですが、配合量が1%以下の場合に限り、順不同で表記できます。
そのため、配合量が1%以下の成分が多く含まれる場合は、メーカーが消費者の好む成分から前に表記することも可能です。必ずしも前の方に記載されているから、後ろに記載されている成分より配合量が多いというわけではないことを理解しておきましょう。
② キャリーオーバー成分に表示の義務はなし
化粧品の製造過程では、製造中に生成される不純物や品質保持のために使用される添加物もあります。基本的には、最後に除去されますが、製造工程内で取り除けず、ごく微量に残ってしまうことがあります。これをキャリーオーバー成分と呼びます。
このキャリーオーバー成分は、メーカーの判断にて製品の品質や安全性に影響を及ぼさないとされれば、原則として、全成分表示の対象外になっています
ただし、キャリーオーバー成分のなかには防腐剤等、旧表示指定成分だったものもあり、アレルギー物質として見逃す可能性もあるため、表示されるべきとの考え方も広まっています。なお、今現在のところ、キャリーオーバー成分の表示に関しては、各化粧品会社の判断に任されています。
全成分表示の見方や選ぶポイントとは?
全成分表示には、配合量の多い成分から順に記載するルールがあるため、多くの化粧品では、
基材 ⇒ 訴求成分 ⇒ 着色剤
の順でパッケージに表示がされています(必ずしもすべての製品に当てはまるわけではなく、配合比率は商品により異なります)。
……とはいえ、並び順だけでは、全成分表示の何を確認すればよいか悩んでしまいますよね。そこで、全成分表示の見方や選ぶポイントについても具体的に解説してきます。
① 1%以下の成分を見分けるポイント
冒頭でもお伝えした通り、配合量1%以下の成分は順不同にて表示が可能になっています。全成分表示を確認する時は、まずこの1%のラインを見極めましょう。
一般的には、
- 感触調整作用にすぐれた保湿成分(ヒアルロン酸Na、コラーゲン類、植物エキス類など)
- 防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、フェノキシエタノールなど)
- 増粘剤(キサンタンガム、セルロースガム、パルミチン酸デキストリンなど)
- キレート剤(EDTA-2Na、エチドロン酸など)
などは、配合量が1%以下でも十分に効果を発揮するものが多いため、多くの化粧品では、これらの成分が表示されている位置が配合量1%の境目の目安になります。
全成分表示を前から順に確認し、この配合量1%以下のラインを見つけると、「これ以降の成分は前に書いているからといって配合量が必ずしも多いわけではない」ということが一目でわかりますよ。
また、1%以下と聞くと少なく感じてしまいますが、化粧品成分の中には、0.1%のみの配合でも十分に効果を発揮するものもあります。1%以下しか配合されていないから、必ずしも効果がないというわけではないので、安心してくださいね。
② 乾燥肌や敏感肌は冒頭の成分に注意
製品により異なるものの、基本的に全成分表示では、前から3つ目までがその化粧品を構成する主な成分(基材)になります。乾燥肌や敏感肌の人は、この前の方に表示されている成分をしっかり確認しましょう。
特にエタノールは、肌質によっては刺激となる可能性が高いため、前の方に表示されている場合は注意が必要です。また、パラベン類(メチルパラベン、プロピルパラベンなど)は、たとえ後ろの方(配合量1%以下)に表示されていても、敏感肌の場合は、配合されていること自体が肌トラブルにつながる可能性もあります。
もしも悩んだ場合は、比較的、肌刺激の少ない「BG」や「グリセリン」が前から3つ目以内に表示された化粧品を選ぶのがおすすめですよ。
美肌を維持!知っておきたいおすすめの成分
化粧品はアイテムにより異なるものの、基本的には約70~90%が化粧品自体を構成するベース成分であり、その残りが美肌をサポートするための訴求成分になります。
全成分表示を確認する時は、この訴求成分をチェックすることにより、自身の肌悩みに合う化粧品も選びやすくなります。なかでも、知っておきたい成分をいくつかご紹介しますね。
① セラミド
代表的な保湿成分であり、私たちの角質層内にももともと存在する保湿因子のひとつです。バリア機能を高め、水分蒸発を抑えることに期待ができます。
なかでも、細胞間脂質に含まれるセラミドと比率を合わせてつくられたヒト型セラミドは、高い保湿効果に期待ができる成分。全成分表示では、「セラミドNP」「セラミドNG」「セラミドAP」などの名称で表示がされています。
② ヒアルロン酸
セラミドと並び、代表的な保湿成分。1gで6Lの水分を抱え込むほど抜群の保水力をもちます。
一般的に使用される「ヒアルロン酸Na」をはじめ、高保湿で肌との親和性が高い「アセチルヒアルロン酸Na」、水で洗っても流れにくい「ヒアルロン酸ヒドロキシロピルトリモニウム」、浸透力に期待ができる「加水分解ヒアルロン酸」など、同じヒアルロン酸でも様々な種類があります。
③ コラーゲン
たんぱく質の一種で、肌の土台となる真皮の約70~90%を構成。保湿効果にすぐれ、肌表面にしなやかな保護膜をつくりながら、うるおいを守ってくれます。
肌表面を保湿する「水溶性コラーゲン」から、角質層内の保湿やハリ弾力アップに期待ができる「加水分解コラーゲン」など、種類により角質層に対する働きも異なってきます。
④ ビタミンC誘導体
様々な肌悩みの救世主であるビタミンC誘導体には、複数の種類があります。即効性と持続性が高い水溶性(アスコルビン酸エチル)、安定性と持続性が高い油溶性(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルEX)、最も角質層に浸透しやすい両親媒性(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)などがあるため、好みで選んでみてくださいね。
なお、人によっては肌刺激となる成分でもあるため、気になる場合は、肌荒れ改善作用にも期待できるナイアシンアミドやトラネキサム酸との併用がおすすめですよ。
⑤ フラーレン
ビタミンCの100倍とも言われる高い抗酸化力をもち、エイジングケア*成分としても人気のフラーレンは、持続力も高く、比較的新しい抗酸化成分です。
ビタミンCやセラミドとの相性も良く、ビタミンCと併用するとツヤハリの相乗効果を発揮。セラミドと併用するとバリア機能のケアに圧倒的な働きを見せるため、取り入れる時はこれらの成分との併用がおすすめです。
*年齢に応じたお手入れ
全成分表示を理解してさらに化粧品選びを楽しもう!
今まで何となく目にしながらも、意識してチェックしたことがなかった全成分表示ですが、実はその化粧品の特徴から魅力までが一目でわかる重要な部分でもあったのです。
なにより、全成分表示の見方がわかると、今まで以上に化粧品選びの楽しさも倍増するはず!ぜひ全成分表示をチェックしながら、自分にぴったりの化粧品を見つけてみてくださいね。
【参考文献】
・日本化粧品検定1級対策テキスト(主婦の友社)
・美容成分キャラ図鑑(西東社)
・医者が教える人生が変わる美容大事典(KADOKAWA)
・効果的な「組み合わせ」がわかる化粧品成分事典(池田書店)
・正しく知る・賢く学ぶ美容成分大全(ナツメ社)