【コスメコンシェルジュ直伝】意外と知らない?皮膚の構造について
私たちの全身を覆う皮膚には、外部刺激から身体を守ったり、不要な老廃物を排出したりするなど、様々な働きがあります。健やかな皮膚を保つことにより、身体も健康で過ごすことができるのですね。
とはいえ、具体的な皮膚の構造や役割については、あまり知らない人も多いかもしれません。そこで今回は、意外と知らない皮膚の構造について解説します。
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書いた人
LISA
<プロフィール>
2011年よりライター活動開始。コスメコンシェルジュ資格取得後、美容ライターとしても活動を開始する。
スキンケアを中心に数多くの美容コラムを執筆。一人ひとりの肌質や生活スタイルを想定したうえで、適切なケア方法を導き出すコラムを得意とする。
プライベートでは、デパコスからプチプラコスメ、ドクターズコスメ、海外コスメなど、ジャンルを問わずに気になったアイテムはすぐに試すスキンケアオタク。
不規則な食生活が続きがちで、健康維持はもっぱらサプリメントに頼りがち。
<所有資格>
・日本化粧品検定1級
・コスメコンシェルジュ
【皮膚の構造】肌は3層から構成されている
皮膚と呼ばれる部位は、表皮、真皮、皮下組織の3つの層から成り立っています。
そもそも皮膚には、
・紫外線等の外的物質から身体を守る“バリア機能”
・皮脂や汗を出すことで老廃物を取り除く“分泌・排出機能”
・表皮を通して薬剤等を吸収する“経皮吸収機能”
・体温を一定に保つ“体温調整機能”
・気温や刺激を脳に伝える“センサー機能”
・異物や細菌から身体を守る“免疫機能”
など、主に6つの働きがあります。
これら6つの働きは、皮膚に存在する3つの層(表皮・真皮・皮下組織)が異なる役割を担うことにより、正常に機能。日々、私たちの身体を様々な要因から守ってくれているのです。
皮膚の構造①表皮
皮膚の一番外側にある表皮は、約0.2mmの厚さの中に角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層が重なるように構成されています。主に肌の保護膜として働き、外部の刺激から身体を守る役割をもちます。
また、表皮の一番下にある基底層では、日々新しい細胞がつくられ、有棘層、顆粒層へと徐々に押し上げられていきます。この細胞が角質層に達すると、数週間程度とどまり、皮膚を保護する働きをしたあとに垢となって剥がれ落ちます。この一連の流れが、美容でもおなじみのターンオーバーと呼ばれる仕組みなのです。
<角質層>
表皮の一番外側にあり、わずか0.02mmの厚さの中に10~20層の角層細胞が重なることでできています。この層の間をNMF(天然保湿因子)や細胞間脂質、水分で満たすことにより、私たちの肌はうるおいを保つことができるのです。また、角質層のバリア機能が正常な働きを行うことで、乾燥等から肌を守ったり、水分の蒸発を防いだりすることができます。
<顆粒層>
角層のすぐ下にあり、顆粒細胞と呼ばれる細胞から成る層です。この顆粒細胞がターンオーバーにより押し上げられることで、角層へと変化します。また、顆粒層にはフィラグリンと呼ばれる細胞(たんぱく質)があり、NMFのもとになる成分をつくる働きも行っています。
<有棘層>
表皮の中で最も厚く、有棘細胞と呼ばれる細胞からつくられている層です。表皮の下にある真皮内の血管やリンパ管を通過してきた酸素や栄養を受け取ったり、角層や顆粒層を構成するたんぱく質を合成したりする働きを行います。
また、有棘層にはランゲルハンス細胞と呼ばれる免疫細胞が存在します。このランゲルハンス細胞には、体内に入ってきた物質を異物かどうか見極める役割があるため、異物が侵入すると、体外に排除するための働きを行います。これがアレルギー反応と呼ばれる仕組みです。
<基底層>
表皮の一番下にある層であり、基底層に存在する基底細胞が新しい細胞を生み出す働きをします。また、肌を紫外線から守る色素(メラニン)を合成するメラノサイトも、この基底層にあります。
皮膚の構造②真皮
約1.8mmの厚さから成る真皮には、乳頭層と網状層の2層があり、肌の本体とも呼ばれる部分です。表皮のすぐ下にあり、主に皮膚のハリと弾力を保つ働きを行います。そんな真皮の約70%は、肌のしなやかさや弾力を維持するうえで欠かせないコラーゲンが占めています。そのほかにも、皮脂腺や汗腺をはじめ、肌にとって重要な器官が集まる層です。
<乳頭層>
肌のプラットホームとも呼ばれる部分であり、毛細血管やリンパ管、神経などが通っている層です。主に表皮の基底細胞に栄養を与えたり、皮膚の構造を維持する役割を果たしたりしています。
<網状層>
真皮の大部分を占め、肌の弾力を保つうえで欠かせない層です。この網状層のなかには、皮膚に弾力を与えるコラーゲン繊維やエラスチン繊維を生み出す線維芽細胞があり、皮膚の重要な構成成分である繊維(たんぱく質)はここで造られています。
また、コラーゲンやエラスチンでつくられた構造の隙間には、化粧品でもおなじみのヒアルロン酸がゼリー状に詰まっています。ベッドに例えると、コラーゲンがスプリング、エラスチンがそれを支えるゴム、ヒアルロン酸がベッドの中の綿のような役割を果たしているのです。なお、線維芽細胞は加齢と共に数が減り、衰えるため、十分なコラーゲン繊維やエラスチン繊維の生成ができないことにより、シワやたるみの原因にもなります。
皮膚の構造③皮下組織
真皮の下にあり、脂肪をつくり蓄える働きをします。いわば、身体のクッション的な存在です。外部からの衝撃をやわらげたり、断熱や保温をしたりなど、様々な役割をもちます。また、肌に酸素や栄養を運ぶためにも欠かせない血管も、この皮下組織の部分に存在します。
皮膚の構造を知って健やかな肌を目指そう
私たちの皮膚は、厚さ数mm程度と薄い部位ではありますが、実はそのなかに、身体を守るための働きを行う層がたくさん集結しているのです。健康な身体を維持するのはもちろん、美肌づくりにも必要不可欠な存在であるため、皮膚の構造を知ったうえで、外からも中からも健やかな皮膚を目指すためのケアをぜひ意識してみてくださいね。
【参考文献】
・日本化粧品検定2級3級対策テキスト(主婦の友社)
・医者が教える人生が変わる美容大事典(KADOKAWA)
・正しいスキンケア事典(高橋書店)
・美容成分キャラ図鑑(西東社)
・正しく知る・賢く学ぶ美容成分大全(ナツメ社)